蟹座-恒星(プレセペ星団/アセルス・ボレアリス/アクベンス)

蟹座 – ヘラクレスの戦いとヒドラ

蟹座は、ギリシャ神話において英雄ヘラクレスの十二の功業の一つ、ヒドラ退治の物語と深く関連しています。ヒドラは、9つの頭を持つ巨大な毒蛇で、ヘラクレスがその首を切り落とすと、2つの新しい頭が生えてくるという特性を持っていました。ヘラクレスは、彼の仲間であるイオラオスの助けを借り、傷口を焼いて新たな頭の生えないようにすることでヒドラを倒します。しかし、最後の頭は不死身であり、ヘラクレスはそれを岩で生き埋めにしました。

この戦いの中で登場する蟹(ヘラが送った巨蟹)は、ヘラクレスの足元を攻撃しますが、最終的にはヘラクレスに踏み潰されてしまいます。ヒドラの死後、その姿は「うみへび座」として星座となり、蟹も星座の一部として知られています。


プレセペ星団(M44) – 飼い葉桶の星団

プレセペ星団は蟹座の甲羅の中心部分に位置する星団です。この星団は、ラテン語で「飼い葉桶」を意味し、古代ギリシャでは2頭のロバが飼い葉桶から餌を食べる様子に見立てられました。プレセペ星団は暗い星座でありながら、春先の宵に見ることができる淡い光を放つ星団です。古代バビロニアでも知られていたこの星団は、神話や伝説においてさまざまな象徴を持ち、生命の循環や豊穣を象徴しています。


アセルス・ボレアリス – 北の仔ロバ

アセルス・ボレアリスは、「北の仔ロバ」を意味するラテン語の名前を持つ星です。この星は、ギリシャ神話において神々とタイタン族の戦いに登場するロバに由来しています。ロバは、酒の神バッカスと火の神ヘパイトスの乗り物として知られています。アセルス・ボレアリスは、星座としてはあまり目立たない存在ですが、視覚的には重要な役割を果たします。

この星は「鬼宿」(魂緒の星)にあたり、魂や精霊が集まる姿として描かれることもあります。また、西洋占星術では、この星が病気や不名誉、冒険心と関連づけられることがあり、命を懸けた冒険や横柄な態度がしばしば現れるともされています。火星や太陽との関連性が強い星で、これらの天体が重なると良い影響を得られるとされています。


アクベンス(Acubens) – 左爪の星

アクベンスは、蟹座の左爪に位置する星で、「爪」という意味のラテン語に由来しています。かつて「避難場所」とも呼ばれ、特に夏至の頃に重要視された星です。アクベンスは、再生や不死といったテーマに深く結びついており、生命のサイクルや復活を象徴する星でもあります。この星が示すのは、困難を乗り越えて生き残る力や、新たな生命を育むことに関するエネルギーです。

神話的には、アクベンスは死の過程や生命の誕生に関連し、特に生命を助け、守る存在として描かれます。この星は、強い直感力や鋭い知性を持つ人物に関連し、生命の守護者や助産師といった職業とも結びついています。


まとめ

恒星占星術では、星座やその中の星々が持つ神話的背景や象徴的な意味を読み解くことが重要です。蟹座に関連する星々は、生命の誕生や死、復活といったテーマに深く結びついており、これらの星々が与える影響を理解することで、個々の性格や運命に対する洞察が深まります。

  • ヘラクレスとヒドラの神話は、困難に立ち向かいながらも成長し続ける力を象徴。
  • プレセペ星団は、生命の循環や豊穣を意味し、自然のサイクルを示唆。
  • アセルス・ボレアリスは、冒険や直感力、そして時に命を懸けた挑戦の象徴。
  • アクベンスは、生命の誕生や死の過程に関連し、再生や復活の力を持つ星です。

これらの星々が示すエネルギーを自分自身の星座に照らし合わせてみることで、さらなる自己理解が得られるでしょう。恒星占星術を学び、神話と星々がもたらす深いメッセージを受け取ることで、人生における意味や目的をより明確にすることができます。


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