カシオペア座-恒星(シェダル)

カシオペア座

✦ 女王の星 ✦

夜空に輝くW字型の星の並び…それがカシオペア座
北天の星座として、北極星を探す際の目印にもなるこの星座には、誇り高き女王の神話が宿っています。


▽ 神話:誇り高き女王、カシオペア

カシオペアは、古代エチオピアの王妃。
彼女は、自らの娘アンドロメダの美しさをことあるごとに誇り、
「海の精霊たちよりも美しい」とまで言い放ちました。

しかしこの言葉が、海神ポセイドンの怒りを買うことに。
というのも、ギリシャ神話における人間の最も大きな罪は「ヒュブリス(傲慢)」
神と人間の最大の違いは「不死であること」であり、
人間が神の領域に踏み込もうとすることは、決して許されない重大な罪とされていました。

そのため、カシオペアの言動は神々への挑戦とみなされ、
その代償として娘アンドロメダが、海の怪物の生け贄として差し出される運命を背負わされてしまいます。

その後、英雄ペルセウスに救われるアンドロメダ。
しかしカシオペア自身は、その自負心と虚栄の代償として、星座として空にさらされる運命を受けました。
天空に座っている姿で描かれるカシオペアは、逆さまになっていることもあり、それが彼女の傲慢の象徴とも言われています。


▽ カシオペア座の恒星:シェダル(Schedar)

カシオペア座の中でひときわ明るく、胸のあたりに位置する恒星が「シェダル」です。
その名前はアラビア語で「胸」を意味し、オレンジ色に輝く巨星。
夜空で北極星を探すときの目印にもなる、目立つ存在です。


▽ シェダルの象徴と意味

現在、牡牛座の7度47分付近に位置しており、恒星占星術では以下のような象徴が語られています:

  • 女王の品格と統治力
  • 威厳と気品
  • 目立つのではなく、背後から支配力を持つ
  • 高貴さと節度を兼ね備えたリーダーシップ
  • 目に見えない領域から発揮される神秘的な力

この星は、古代エジプトでは「天空の王家のしるし」とされ、
中東では宝石職人や芸術家を象徴する星とも言われてきました。
“美”や“品位”をもって何かを創り出す力が、古代から現在まで結びついているのです。

また、過度なぜいたくや誇示が困難を招くとも言われており、
誇りと謙虚さのバランスを問う星とも言えるでしょう。


おわりに

カシオペア座の神話に登場する女王は、傲慢さゆえに罰を受けましたが、
その内面には誇り高い品格と母としての愛が宿っていたのかもしれません。

そしてその胸元に輝く「シェダル」は、
目立たなくとも人を導く“女王の星”として、今も夜空から静かに語りかけています。

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